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許可を受けなくてもできる工事=軽微な建設工事

※このページは原則として京都府における取扱いを前提に記述しております。

建設業法の適用除外

建設業を営業しようとする者は、元請であるか下請であるかにかかわらず、その業種ごとに国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければなりません。ただし、次に掲げる軽微な建設工事のみを請け負う場合は、必ずしも建設業の許可は必要ありません(建設業法第3条)。もっとも、この場合でも許可を受けることは差し支えありません。

建築一式工事で次のいずれか(※)に該当するもの
  1. 1件の請負代金が税込み1,500万円未満の工事
  2. 請負代金の額にかかわらず、木造住宅で延べ面積が150平米未満の工事(木造住宅とは、主要構造部が木造で、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するものをいう)
建築一式工事以外の建設工事 工事1件の請負代金が、税込み500万円未満の工事

※いずれか一方に該当すればよいので、例えば請負代金が1,500万円を超えていても、延べ面積が150平米未満の木造住宅工事であれば、許可なく請け負うことができます。

請負代金500万円未満の考え方

軽微な建設工事の請負代金上限は、税込みで判断されます。従って、消費税率8%(平成27年5月本稿執筆時現在)分を差し引くと、建築一式工事以外の建設工事の場合、税抜き4,629千円あたりまでということになりそうです。消費税率が上ると、この額はさらに下がる計算になります。

新規の建設業許可申請において、許可を持っていない個人または法人であった頃の施工実績を実務経験として申告するケースは少なくありません。しかし、その工事がここで言う軽微な建設工事の範囲を超えるものであった場合、建設業法第3条に抵触し違法工事となりますので、その工期は経験期間としては認められません。ここでもし一件の工事を500万円未満に小分けして契約していたとしても、正当な理由がない限り、実質が同じ工事であれば合計額で判断されることになります。また、注文者が材料を提供したため請負代金に材料費が含まれていなかったときは、その材料の本来の価格および運送賃は、請負代金に加えて判断されます。

このケースに限らず、建設業法の適用除外となる軽微な建設工事の範囲を利用しようとする場合は、注意が必要です。仮に、実際の工事が軽微な建設工事の範囲を超えてしまったことにより違法工事と判定され、罰金刑の適用を受けた場合、事後に改めて許可を取得しようとしても、今度は罰金刑を受けた事実が欠格要件(建設業法第8条)に該当するため、5年間は許可を受けることができなくなります。

このように建設業法は、軽微な建設工事の請け負いのみを業とする者に対しても、許可の適用を除外すること以外、原則として本法の規制対象とすることになっています。従って、当面は適用除外の見込みであっても、いずれ軽微な建設工事の範囲を逸脱する蓋然性が高いというのであれば、あらかじめ許可の取得を検討しておくのが賢明であると考えます。

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