長い帰化の手続きを経て、晴れて日本の戸籍ができあがった。教えられたとおり最後にいちど韓国領事館へ行って、国籍喪失を報告すればすべて終わりだ。
ここまで来た方にとって国籍喪失の届け出は、残されたわずかな事後処理、引越し時の転出・転入届程度のものなのでしょうか。ほとんど手ぶらで気楽に領事館へ赴いた方がいらっしゃいます。よもやこんなところでつまづくとは、夢にも思わずに。

帰化が許可されれば既に日本国籍です。法律上韓国籍は自動的に失うことになっていますので、二重国籍の問題は生じません。しかし、日本の住民登録システムと韓国の住民登録システムが連動しているわけではありません。従って、韓国側は未だあなたが韓国国籍を喪失したことを知らず、あなたの韓国国民としての個人データは残ったままのはずです。これはスッキリしない状態です。
そこで韓国側に対して報告的に国籍の喪失を届け出ることになります。そうすることで個人データを閉鎖の扱いにしてもらいます。昔の言い方なら除籍でしょうか。この手続きを国籍喪失届といいます。

この国籍喪失届、帰化の長い道のりの後であまり注意深く顧みられることがないようですが、意外と手間ひまがかかります。ふと思い立ったその足で領事館へ出掛け手続きを済ます、というシロモノではないのでご注意ください。

このページは国籍喪失の手続き案内ではありませんので詳しくは述べませんが、当日用意の要る書類は、日本国籍となった住民票、帰化の記載された戸籍謄本のほか、それらのハングル翻訳文、基本証明書および家族関係証明書、国籍喪失申告書、持っていれば韓国のパスポート(事実上失効しています。使うと大変なことになります)、さらには新しく撮影した証明写真と、これから何かの新規申請を行うかのような重装備です。
加えて、韓国戸籍法の改正により2014年7月から、国籍喪失申告の具備書類に日本のパスポートが追加されています。ということは、日本に帰化した後、日本のパスポートを作ってからでないと、韓国国籍の喪失手続きはできません。

韓国の国籍喪失手続きの厳格化の背景には、韓国国内での兵役問題があるともいわれます。しかし、これがために在日特別永住者の帰化による国籍喪失届が滞るのは、決して好ましい状態ではありません。今後何らかの措置がとられるのか否か、今のところは推移を見守るしかないようです。

いずれにしてもこの手続き準備には、帰化後数週間から人によっては数ヶ月かかる場合もあるかもしれません。国籍喪失届はわずかな事後処理などではなく、まさに帰化申請の一部と捉え、一連の手続きとして計画的に処理して行くのが理想的といえるのではないでしょうか。


4ステップ|帰化までの道のり(PDF:220KB)

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