令和6年2月9日に日本政府が決定した技能実習制度の見直しの方針の中に、「永住者」の在留資格を持つ外国人が税金や年金などを滞納した場合、在留資格を取り消せるとする内容が含まれていることがわかりました。
これまでも犯罪をおかしたり、出入国時のルールを守らなかった場合などに、「永住者」資格が取り消されるおそれはありました。しかし、税金や年金の滞納などでは、日本国籍者と同じく強制徴収や処罰を受けることはあっても、在留資格が取り消されることまでは考えられませんでした。これからはそうもいかなくなるかもしれません。長期間日本で暮らしてきた外国人の生活基盤が、何より安定的な在留資格であったはずの「永住者」が、あっという間に不安定で頼りないものになってしまったかのようです。
もちろん税金や公的年金、社会保険などは、ルールにのっとって正しく納めていればどんな法改正があったとしても心配することはありません。しかし、病気や失業、ミス、うっかりなどで、つい滞納に至ってしまうようなことは、誰にとっても起こらないとは限りません。現在「永住者」資格を持って暮らしている在日外国人にとって、今までなかった大きな心配事が突然目の前に現れたことは、たいへんなプレッシャーと緊張につながっているようです。
そこで、永住よりいっそ帰化してはどうかという考えが少しずつ広がっているのか、当事務所へもそのような相談が寄せられています。永住と帰化は、もともと並べて比較されることの多い、よく似た選択肢といわれています。大きな違いといえば、永住の場合は外国籍のままであるところ、帰化の場合は日本国籍にかわるということくらいです。しかし今回の場合、この一点だけで決定的に明暗が分かれるかもしれないわけですので、今になって一斉に注目が集まるのも無理のないことかもしれません。が、そうなると今度は、帰化の審査基準が一気に引き締められるということもありそうです。
今のところ法案の行方は見通せませんし、このあとまだ二転三転あるかもしれません。まして帰化が最善の策になるかどうか、答えは出ていません。元来帰化という制度自体、このような場合の選択肢や逃げ道として用意されているものではないので、国籍法の目的や条件に適合しないときには、やはりこれも厳しい道にならざるを得ないでしょう。しかしその間にも眠れぬ夜を過ごしている、多くの善良な「永住者」がいるだろうことも想像に難くありません。そんな在日外国人の生活問題に対して、身近な相談相手である行政書士が果たせる役割は少なくないだろうと考えています。

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