相続の開始と戸籍謄本の取り寄せ

相続の開始

相続開始の原因

相続は、死亡によって開始します。(民法第882条)

法定相続人

法定相続人は次のとおりです。

1.配偶者は常に相続人となる

2.配偶者以外のものは、次の順にしたがって相続人となる。この場合、配偶者がいればこれと一緒に、いなければ単独で相続する。
①(子、孫、ひ孫)子が被相続人の死亡以前に死亡している場合、孫が子に代わって代襲相続する。子も孫も死亡していればひ孫が再代襲する。
②(親、祖父母)親等の近いものが先順位となる。父方の親と母方の祖父がいる場合、父方の親のみが相続。
③(兄弟姉妹)被相続人の死亡以前に兄弟姉妹が死亡していれば、甥や姪が代襲相続するが、甥や姪も死亡していた場合、もはや再代襲しない。

戸籍謄本の取り寄せ

なぜ戸籍謄本を取り寄せる必要があるのか

ところで実際に相続が開始し、故人の相続財産の所有名義を変更しようというときには、上記の相続関係を当事者が把握しているだけではどうにもなりません。預貯金、土地・建物、株式、自動車等を、保管しまたは登記・登録しているのは、銀行や法務局、会社、陸運局等の第三者である場合がほとんどです。そしてこれら第三者に故人の財産の名義変更を申し出たとしても、その申し出が間違いなく「①すべての法定相続人」の「②同意を得たもの」かどうかが、法律上必ず問い返されることになります。ここに手続き執行者が自ら戸籍謄本を取り寄せ、これを使って第三者に対し「①すべての法定相続人」の存在を証明して見せる必要が生じます。

戸籍謄本取り寄せの実際

そこでまず、上で述べた「誰が法定相続人か」を証明するために、被相続人の出生から死亡まですべての戸籍謄本・改製原戸籍謄本・除籍等を取り寄せます。次にこれらを時系列に辿ることで、被相続人がその生涯に形成したすべての身分関係(親や配偶者や子など)を明らかにします。こうしてようやく、その相続関係を第三者に証明することができるようになります。
ただし、例えば上の第③順位の兄弟姉妹が相続人であるという場合は、被相続人の出生以降の情報だけでは足りません。被相続人の兄弟姉妹は、その親がもうけた子であるわけですから、今度は両親それぞれの全生涯をくまなく確認し、更に法定相続人たる兄弟姉妹がないかどうかを確認しなければならないのです。仮に被相続人が戦前の生まれであったなら、その親の生まれはおそらく明治時代にまでさかのぼることになるでしょう。
この例に限らず、重ねて養子縁組があった場合や、相続人が先に死亡し代襲相続が生じていた場合など、証明を要する範囲が予想外に広がってしまい、取り寄せるべき戸籍等が数十通に及んでしまうケースは多々あります。

相続業務のご案内

戸籍謄本取り寄せ事務の委任

このように戸籍謄本等を取り寄せるべき市区町村やその年代が広範にわたるときには、それら一点一点は、元来その連なりを辿って順次取り寄せるより他ない性質のものですから、その交付請求事務も再三にわたることになります。

そこで行政書士に戸籍謄本の取り寄せを含む一連の相続手続きを委任することができます。行政書士は職権により必要な戸籍謄本の取り寄せを代理して行うことができます。当事務所では、最初のご面談で、依頼者様から被相続人に関する情報をいただくことにより、法定相続人を明らかにするすべての戸籍謄本等証明書類を取り寄せ、これをもとに相続関係説明図を作成いたします。相続人の間で方針が決定していれば、相続財産目録、遺産分割協議書の作成も行います。また、相続財産の中に不動産が含まれている場合や、相続税申告が必要な場合には、登記業務の専門家である司法書士や、税務の専門家である税理士と連携して対応いたします(これらの専門家に対する報酬は、行政書士の報酬とは別に必要となります)。

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