年金に加入していないなら、加入する必要があります。加入しているけれど未納がある場合は、未納分を支払う必要があります。帰化申請の際には最低でも直前1年間の納付実績が必要です。国民年金保険料のお話です。
※会社員や会社経営の方は厚生年金という別の話になります。

反対から言いますと、年金に入っていない方も、これ(帰化申請)を機に年金に加入し、直前1年分の納付済み領収証を用意することで、少なくとも帰化申請への道は開かれる可能性があります。領収証を用意できればよいので、申請を1年も先送りしてコツコツ支払っていかなくても、一括で納付してきたならそれはそれで問題ないようです。それでも1年分ぜんぶだと20万円近い支出になりますので、決して小さくない負担ではありますが。

ところでこの負担を、帰化のために受忍すべき負担ととらえるのは、あまり正しいとは言えません。これは本来、帰化に関わらず正しく納めるのが義務ですので、素行条件のひとつ、遵法意識を判定するための材料になります。つまり素行条件に抵触している現状をあるべき姿に回復させ、帰化への道を取り戻すということです。逆に1年分の領収証だけでこれ(年金に係る要件)がクリアできてしまうとしたら、かなり甘めの基準と言えるのではないでしょうか。

なお、収入の減少や失業などで年金保険料を納めるのがしんどいときには、免除や納付猶予の制度があります。加入の免除はありません。加入して納付か、加入して免除(または納付猶予)になります。正しく手続きして免除や納付猶予を利用するなら、帰化の素行条件に抵触することはありません。したがって条件が合えば、加入と同時に免除や納付猶予の手続きをすることも考えられます。学生さんの場合なら、学生納付特例という制度もあります。帰化申請のためという事情を説明すれば、年金事務所の職員さんも親切に相談に乗ってくれるはずです。

但し、これらの制度を利用する場合、素行条件はクリアできても生計条件が問題になってくることが考えられます。年金の免除や猶予が受けられるほど収入が少なくて、きちんと生活できるのか、というわけです。このあたり、とても上手くできています。生計条件は、生計を同じくする世帯単位で見られますので、「世帯全体で見てくれれば、互いに支え合ってきちんと生活できているから大丈夫だよ」というような画を描けるかがポイントになります。

このように帰化の審査は、いろいろな条件が互いに影響し合いながら、複雑で分岐だらけの迷路をたどるようなものです。場当たり的な対応では「何度も行き止まりに突き当たっては、引き返す」を繰り返すハメになり、やがて信用を失くすか、自分でイヤになって諦めてしまうかもしれません。上空から迷路の全体を見渡せる行政書士など専門家のナビゲートを受けることが、結局のところ無駄なく最短経路で帰化するための一番良い方法ではないかと思います。


4ステップ|帰化までの道のり(PDF:220KB)

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