帰化申請の準備中に交通違反歴が発覚することがよくあります。本人がほとんど忘れてしまっていて、こちらが聞いていた話と違うなんてこともしばしばです。もちろん老若男女問いません。人は見かけによらないものです。

帰化のときは必ずといっていいほど運転記録証明書という書類の提出を求められます。この書類には過去5年間の交通違反歴が記録されています。これを帰化の条件のひとつ「素行が善良であること(国籍法第5条1項3号)」の判断の参考にします。当然違反が多いと素行が善良であるとは言えなくなり、帰化できないということになります。

もっとも交通違反にも軽微なものから重大なものまでいろいろあり、「多い」とはどの程度のことを言うのか気になるところです。一般に帰化では行政に広範な裁量が認められており、細かな審査基準が公に示されることはありません。どの程度の違反歴が帰化に差し支えるか、経験則から推定するしかありません。とはいえ、いくら裁量が認められるといっても法務局ごと、担当者ごとに、好き勝手に処理して不公平を生じさせることはありませんので、既にさまざまネット上に挙がっている口コミ情報を集めると、おおよそ次のような基準が見えてくるかと思います。

過去5年の運転記録証明書上に、5件の違反記録の記載があると、申請に差し支える。但し、飲酒運転や人身事故、スピード違反など重大なものについては、件数に関わらず(例えそれ1件だけであっても)個別に判断される。

実際には、これらの事情は法務局の事前相談の段階で明らかになりますので、わかった時点でそこから本申請へコマを進められないという状態に陥ります。運転記録証明書は違反の発生日順に古いほうから列挙されていますので、発生から5年を経過したものは順番に書類から見えなくなって行きます。そこで解決策として、証明書から古い違反記録がある程度見えなくなる(「見栄えが良くなる」というような言い方をします)まで待って、改めて申請するよう促されることになります。その日が3年先になるか5年先になるかはケースバイケースですが、いずれにしても「『思い立ったが吉日』というのに、そんなに待たなければならないなんて。ガッカリだ、、、」、ということになってしまいます。帰化申請を思い立ったときは、まず自分の運転記録を調べてみるのも良いかもしれません。

運転記録証明書の交付請求用紙はお近くの警察署にあり、受付でお願いすればもらえます(カウンター横のストッカーに置いてあることが多い)。必要事項を記入して郵便局などで手数料670円(本稿執筆時点)払い込めば、2週間程度で郵送されてきます。

なお、申請が受理されたあとも帰化許可までには半年以上かかるのが普通で、この間重ねた違反も当然審査対象に含まれます。重大な事件を引き起こしてしまうと、帰化目前であっても一発アウトになりかねません。帰化申請にのぞまれる方は、帰化が許可されるその日まで、特に車の運転にはお気を付けください。

もちろん帰化後もぜひ安全運転で、カーライフをエンジョイしてください!


4ステップ|帰化までの道のり(PDF:220KB)

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