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リフォーム業の実態と建設業許可の関係

リフォームと建設業法の業種区分

建設業法にリフォーム業という業種区分はありません。したがってリフォーム業専門の建設業許可というものもありません。

しかしながら、リフォームというのは比較的幅の広い概念です。丁寧にその内容を見てみると、内装工事や配管、電気、塗装、屋根その他、様々な種類の工事が組み合わさって、一件のリフォーム工事となっていることが多いのではないでしょうか。

リフォーム工事と500万円と建設業許可の関係

ここで、その一件のリフォーム工事の請負総額が、税込み500万円以上(建築一式にあたるなら税込み1500万円以上)になるなら、それは建設業許可の必要なリフォーム工事ということになります。もちろんリフォーム業という業種はありません。そのリフォーム工事の主な内容が、内装工事や管工事あるいはその他の何であるかに従って、建設業28業種のうち該当するいずれかの許可を得ていなければならない、ということになるのです。

そうでない場合、つまり一件のリフォーム工事の請負総額が、税込み500万円未満であれば、それは建設業許可の不必要なリフォーム工事(※)ということになります。そして、リフォームを専門とする業者には、この500万円枠を利用し許可を受けずに営業しているケースが多いと思われます。

電気工事解体工事等、別段の規制がかかるケースはあります。

リフォーム業者が建設業許可を受けるメリット

さて、そんなリフォーム業者があえて建設業許可を受けておくメリットは何でしょうか。一つには、上述の500万円枠の解消があげられます。許可を得ていない以上、あるリフォーム工事が500万円枠を超えるものになれば、それは業法違反となり、その業者は処分の対象となります。それなら受注の見通しが立ち次第、許可申請すればよいではないか、といった声も聞こえてきそうですが、実際の申請は思った以上に手間が掛かるものです。受注獲得のため至急手続きしなければならないという状況は起こり得るでしょうが、細かな検討が不十分なまま事を急ぐとかえって時間が掛かったり、後々不都合が生じることもあります。500万円以上の仕事の受注も想定されるなら、慌てないで済むうちにじっくり検討を開始してください。行政書士にご相談いただくのがおすすめです。

二つ目は、ライバルであるリフォーム業者との差別化です。これも上述の通り、小規模の修繕のみを専門とするリフォーム業者は、許可を受けずに営業しているケースが多いことから、逆に、正式に知事ないし大臣の許可を受け金看板を掲げたなら、少なくとも信用力のPRにひと役買うはずです。元請からの評価も高まり、受注の拡大につながることもあるのではないでしょうか。迷ったら許可業者のほうを選びましょう、などと啓蒙する消費者向けの書籍やホームページも見受けられる昨今です。

三つ目は、視点を変えて、無許可営業が将来の建設業許可取得のための大事な準備期間になるということです。許可なくリフォーム事業を経営した、個人事業主または法人役員としての経験が、5年ないし7年に達すれば、それが建設業許可の必須要件のひとつである経営業務の管理責任者になるための経営経験として認められます。建設業許可は、未経験者にはこれを与えないという仕組みになっていますので、許可を受ける前に経験を積める一定の範囲が設定されているのです。この場合、許可申請時にリフォームの施工実績を証明するため、請負契約書や注文書等、証憑類を適切に作成し保管しておくことが大切です。これらについても窓口対応に詳しい地元の行政書士に相談しておけば、後がずい分楽になります。

リフォームに関する国の方針について考える

東日本大震災以降、震災への対応の経緯が検証される中で、将来へ向けて様々な課題が取り上げられています。その中に、維持更新・循環型社会への対応といったテーマがあり、建築物のリフォームも重要課題のひとつとして議論されています。具体的には、今後拡大が期待されるリフォーム市場にあって、費用、施工内容、品質等に関する消費者トラブルが増加傾向にあることなどが懸念事項として指摘されています。この背景に、500万円未満の軽微な工事のみを請け負うリフォーム業者が建設業許可を必要としないことから、消費者との間に、施工内容について、適正な書面に基づく十分な合意を形成する習慣が根付いていないこと等があるとされています。またリフォーム工事においては、様々な専門工事が同時進行するものでありながら、それらが主な工事の附帯工事として施工される限り、専門技術者の設置を要さないという点も、後の品質等に関するトラブルの遠因になり得るということです。

こういったことから、代金の支払の方法や、工事内容の変更協議の方法など、基本的なマニュアルを国が策定し、許可が不要な者を含め指導・監督を強化することなどが検討され始めています。また、軽微な工事についても建設業許可に準ずる仕組みの導入が取り沙汰されています。

リフォーム業界に関して言えば、今後、市場規模の拡大という歓迎すべき状況の到来と引き換えに、規制強化という懸念事項が持ち上がってくることでしょう。このことは、許可を持たないリフォーム業者に、より大きなインパクトを与えることと思われます。これらを念頭に、小規模修繕等を専門とするリフォーム業者にあっても、近い将来の建設業許可取得へ向け、検討を開始しておくことが有効なのではないかと思われます。

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