建設業法第7条解説および許可申請の実際

※このページは原則として京都府における取扱いを前提に記述しております。

一般建設業の許可の基準

建設業法第7条は、一般建設業の許可の基準を定めています。建設業の許可は、軽微な工事を除く建設工事の請負を業とすることを一般的に禁止し、一定の要件を満たす場合にこれを解除し適法に営業を行わせるものです。そして、申請者が以下のような許可の基準に適合していると認められ、かつ、欠格要件(建設業法第8条)に該当しない場合には、許可をしなければならないとされています。以下に建設業法第7条の概要を解説いたします。

特定建設業については一般建設業よりさらに加重された要件が課されています

経営業務の管理責任者としての経験がある者を有していること(建設業法第7条第1号)

常勤役員(個人事業者の場合は当該個人または支配人)のうちの1名が、許可を受けようとする建設業に関し5年以上(許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し7年以上)経営業務の管理責任者としての経験を有する者であることが必要です。ここで「常勤」とは、原則として本社、本店等において休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している者をいいます。日常の経営業務を執行しない非常勤役員では足りません。

なお、許可を取得した後に経営業務の管理責任者が退職し、後任が不在となった場合は建設業法上要件欠如で許可の取消しとなります。このため、経営業務の管理責任者が退職しそうな状況に立ち至ったときは、決して不在期間を生じることのないよう、速やかに後任の人事について検討を始めなければなりません。また、経営業務の管理責任者は常勤役員であることを要しますので、何らかの事情でうっかり登記事項を変更し役員でなくしてしまうことのないよう、こちらも充分注意が必要です。

専任技術者の設置(建設業法第7条第2号)

その営業所ごとに、建設工事の施工に関する一定の資格または経験を有する技術者で専任のものを置かなければなりません。「専任のもの」とは、その営業所に常勤しもっぱらその職務に従事していることをいいます。

あまりに住所が遠く常識的に通勤不可能な者は専任と認められませんし、距離の離れた他の事業所において他の法令により専任を要する地位(例えば、建築士、宅地建物取引主任者等)と兼務するというのも、論理的に有り得ないことだと理解しておかなければなりません。なお、専任技術者は雇用契約等により事業主体と継続的な関係を有している必要があります。

経営業務の管理責任者と同様、専任技術者の設置も建設業法上許可要件の1つであるため、許可を取得した後に専任技術者が不在となった場合は許可の取消しの対象になります。

誠実性(建設業法第7条第3号)

法人である場合においては当該法人またはその役員(この場合は常勤のみならず非常勤役員も含まれます)もしくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者または政令で定める使用人が、請負契約に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者であってはなりません。これには、建築士法や宅地建物取引業法等で不正または不誠実な行為を行ったことにより免許等の取り消し処分を受け、その最終処分から5年を経過しない者や、暴力団の構成員である場合等が該当します。

財産的基礎等(建設業法第7条第4号)

請負契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかであってはなりません。「…有しないことが明らかであってはならない」とは少し妙な言い回しです。本来、財産的基礎を有していることを求める必要がありますが、小規模業者の中にはその信用によって必要な資金を調達し営業している者もあり、これらの者についてもその営業を認める必要がある場合があります。したがって、財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかな者に限って許可しない、としているのです。つまりこれは、許可を受けるべき建設業者としての最低限度の経済的な水準を求めたものであるということです。なお、必ず前払金を受けてから工事に着手するという業者でも、完成した建築物のかし担保や、工事に伴う労働災害、公衆災害等への適切な対処能力を示す意味で、やはり最低限の財産的基礎または金銭的信用は必要です。

次のいずれかに該当すること。
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力を有すること
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
※これは一般建設業の要件です。特定建設業の場合は更に加重された要件が課されています。

建設業許可申請の実際

さて、ここまでザッと建設業法第7条各号の許可要件について解説してきましたが、実際の申請に臨むにあたっては、上のような話をただ承知しているというだけではまったく不十分です。そのことを申請書類上に不備なく表現することのみならず、例えば経営業務の管理責任者や専任技術者であれば、①その者が真に在籍していること、②その者は間違いなく上の条件を満たしていること、を証明できなければならないのです。しかも受付で口頭で身振り手振りを交えて訴えるだけでは通用しません。なぜなら実際に申請内容を審査し許可不許可を判断するのは、目の前にいる受付担当者ではなく、どこか違う場所にいる上席の責任者だからです。また、常識的に見れば数次の判断を経て決定が下されるものと考えられる以上、誰に対しても説明が果たされるようすべて書面による証明以外には受け付けられないのです。よく窓口で唾を飛ばし興奮してまくし立てている人を見かけますが、こればかりはいくらその場で強弁したところでどうにもなりません。

では、何をもって証明が尽くされたと認められるかですが、これは各自治体ごとに細かな基準が定められており、一概に言えるものではありません。さらに、窓口ごとのルール(例えば、実務経験の証明月数の勘定は片落とし方式によるか両端入れ方式によるか、業種ごと工事経歴の重複期間はどう取り扱うか等々)まで含めると、つね日ごろこれに携わっている者にしてようやくひとわたり承知しているといった、細かい話でもあるのです。

京都府の場合は次のサイトに建設業法の解説および申請の手引き等が掲載されていますので、更に詳しく知りたい方はダウンロードしてご利用ください。

http://www.pref.kyoto.jp/kensetugyo/index.html

なお、上で述べたように細かな基準は各自治体ごとに違いがありますので、他府県の業者さまにあっては必ず実際の申請先の情報を当たっていただきますようくれぐれもお願いします。また、建設業法の全文については次のサイトで確認することができます。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO100.html

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